電撃アルティマニア

ゲームと映画をこよなく愛する社会人。ゲームは私の人生の教科書、ゲーム脳なんてくそくらえ!!

原作ファンを唸らせた実写キングダム、全ての人にオススメするその理由

漫画の実写化はだいたい失敗する。

悲しきかな私もそう思っているタイプのオタクである。だから今回書くこの記事も当然否定的な物になるであろう事は確かであった。

 

 

 

キングダム

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ヤングジャンプで連載されている3000万部を超える超ヒットマンガだ。その発行刊は50刊を刻み、この度映画化が決定された。

まず初めに言っておく、私はキングダムの大ファンだ。きっかけはアメトーーク!と友人の勧めというわかりやすいちょろいオタクである。しかし、家にマンガを置かない主義(読んでいるマンガが多くとても家に置いておけない)の私が唯一スラムダンクの創刊を全て揃えた以降埋まることのなかった本棚を、このマンガは埋める所かこのマンガの為に新しく本棚を新調するまでに至った。

 まずはこのマンガがいかに面白いのかと言う所から話を進めていかねばなるまい。

 

  キングダムの魅力を語る

昨今王道展開が減り変則的な物語が増えてきたマンガ、それを否定はしない。どのマンガを出すにしても展開がもうある程度出しきられてしまっているこのネタの飽和状態の中誰もが熱くなれる少年心をくすぐるマンガというものは中々産み出されない。というよりも求めるニーズが大きく広がっているのだ。ライトノベルからの派生、異世界転生物、ハーレムマンガ、サスペンス描写が強い過激な物。マンガならこれだろと必ず誰もが通る物が今はもうほとんどない。それだけマンガというものは、読む人間のファン層を大きく広げた。その中での3000万部超えである。それがいかに凄いかは、言わずもがなだろう。ではなぜここまで人気がでたのか、やはりそれはひとえに奴隷の少年が中華に轟く大将軍になるという王道中の王道のサクセスストーリーではないだろうか。

 主人公の信は身寄りのない戦争孤児、同じく戦争孤児の漂とこの奴隷人生から脱却する為2人で戦に出て武功を挙げて将軍になる夢を抱き戦乱の世に立ち向かっていく。そこからの展開がずっと熱い。そう本当に熱いのだ。

この劇場公開日に発売された最新の54巻に至るまで手に汗握るドラマがずっと続く。

正直ここまで長く続くマンガは必ずどこかで一度はダレる。これは仕方がない事で、常に面白いマンガを描き続けるという事がいかに大変で難しいことなのかが本当によくわかる。まあほかに読んでいる読者の中には、嘘つけ私はここつまらなかったぞと言う方もいると思うが少なくともある程度のマンガを読んで割と辛口な私がここまで全面的に褒めるという事はまずありえない。それだけ凄いことを原作者の原先生はやってのけているのである。

最早人が成せる技ではない。きっと神。

 次に、やはり魅力的であろうキャラクター達を書いていきたいのだがここまで書き始めていくと映画のレビューにたどり着くのは3000文字を超えた辺りになる事は必須なのでここから劇場版に出てくるキャラクターと、共にキャストの評価や作品自体の評価を書いていきたい。

 

※注意点

ここから先は映画のネタバレを含んだレビューになる。普段私は映画のネタバレを書くのは自分の性格上嫌なのだが、原先生本人がネタバレを公認しているので今回は特別に書いていきたい。その理由も後に記載していく。

 

キングダム劇場版の評価

ストーリー

この超大作を作るにあたって最も苦戦したであろう部分。映画の根幹となるストーリーと脚本は本当に悩んだであろう事は、原先生本人も脚本に参加した様子を書かれている事からも想像に値する。

『ラストの信と左慈のシーンは東京へ飛んで12時間カンヅメでしたね』(キングダム新聞より抜粋)

私は映画も好きでかなり見ていると自負している(年間100本を超える時もあった)

だからこそ他の実写化映画がコケる大きな要因の一つ、作者の意図しない脚本と収まりきらないストーリーを無理やりこじつけで繋げてしまうという非常事態に陥る安易な映画が嫌われ他のファンも見なくなるという現象を嫌という程見てきた。

 しかし、今回のキングダムは単行本でいうと1巻から5巻までの王都奪還編を詳しく書ききるという思い切った判断になったのである。なので今ではキングダムのメインキャラである羌廆がいない。そこは少し悲しかったが、きっと続編がでた暁にはPVで出演していた山本千尋さんが起用されるであろうという淡い期待を込めている。彼女は本当にはまっていた。

ここまで書いた上でストーリーの評価だが、本当にうまくまとめている。

この一言しかなかった。まあ詳しく書いていくと、

・漂と鍛錬をしている下りから始まり奴隷として使えていた家の家族構成の変更(息子が消えた)

・町で王都での謀反話の削り

・山の民に信達が捕まった檻のくだりのカット(ここはタジフが好きだったので個人的には残念ではあった)

・王都奪還の際の朱亀の門攻略の戦闘シーンの変更

 ここに関してはすごいと思った。原作ではここの門前から戦闘が始まり信が驚異的な跳躍力でここを突破するが今作では楊端和が門前の兵を説き伏せ武器を持ったまま侵入に成功する。

・竭丞相の馬車逃げカット

・抜け道で戦うランカイ

王室で戦うはずだったランカイがここで登場。しかし今回の戦闘シーンはすごかった。山の民達のアクションシーン特にここランカイとの戦いのシーンはバジオウ、タジフを含め見応えバツグンだった。

・ラスボスが左慈

抜け道で戦うはずの左慈をラストに持ってきたのは驚いた。そしてここでの夢問答シーン。ここは原作にはないシーンだったからこそとても感動した。

大将軍になるという夢を抱いた少年信、それに対するは戦場で戦い生き抜いてきた左慈。誰よりも戦場の厳しさを知る左慈が夢なんて戦場にはない、そういう夢を持った奴はろくな死に方をしなかったと吐き捨てるシーンはこの2人の対比を見事に描いていた。前半は当然やられる信だったが夢があるから立ち上がれる前を向ける強くなれると言い放った時は本当に号泣だった。かっこいい。

・王騎将軍の登場シーン

最後に我らが大将軍王騎の登場シーン。尺的には非常に微妙で原先生本人も削るかどうかを考えたという問題のところ。そう信、嬴政2人の成長に今後大きく関わってくるこのキャラクター王都奪還編では登場が僅かなのである。しかも敵か味方か分からない不穏なキャラとしての登場の彼をどうするか。

結論を言うとここがほんとにずるかった。ああいう入れ方をされると今後に期待しかできないしちゃんとストーリーに重みのあるキャラとして記憶にしっかりと残る。まさか童、信!と呼ぶ王騎が見れるなんて思わなかったしここがどれほど原作ファンを泣かせにきてるか・・・。

ここは敢えて書かずに隠す方向にしたい。(少しでも気になる人がいて劇場に足を運んでくれると嬉しい)

以上ずらっと書いてみたがまさしく最初にもかいた通り本当にうまくまとめられていたのである。なのでストーリーに関しては申し分なかった。

 

キャスト

ここに関しては、必ず不満がでる。どんなに作者が口を出したとしても二次元で描かれたキャラクターを三次元で表現するなど到底無理な話なのだ。

永遠の問題であるこの点に関しては、水掛け論になってしまうので敢えて否定的な意見は出さず良かった部分をまとめていきたい。

 

・信(山崎賢人)

今まで実写化俳優と散々言われ数多くの実写化に登場したであろう山崎賢人さん。

正直見るまでは不安でしかなかったが、結論から言うとかなりのハマり役だった。ガサツで荒っぽくしかし夢に対しては誰よりも真っ直ぐに向かっていくそんな稀代の王道主人公を山崎賢人は熱演していたのである。正直演技でいうと当然完璧ではない。楊端和山の民を説き伏せるシーン、みなを黙らせる将軍たる素質の片鱗が見えるこのシーンはもうちょっと頑張って欲しかったと個人的には思うが、それでもそこも踏まえつつ将軍への道を進む信のように彼もまた大きくなっていくのかと思わせる演技だったのが良かった。山崎賢人さん本人も原作も大好きで信に対しての思いは誰よりも強いのは対談などを見てもわかるので、続編が出たらぜひともまた信をやってもらいたい。

 

・嬴政(吉沢亮)

仮面ライダーの二号ライダーとしてデビューを飾り銀魂でイケメン沖田を演じた彼。

本当に素晴らしかった。漂と嬴政二役をこなした彼の演技は正直かなり驚いた。

明るくいつも信を諭す優しい漂と、家臣弟にまで裏切られしかし己の覇道を信じ修羅の道を突き進む熱情を秘めた嬴政。

見ていてちゃんとそれが素人でも一発で伝わる演技は本当に凄まじく何よりこの役を演じるに当たって最も必要とされる気品さ、王としての存在感。これをしっかりと映画の中で出し切っていたのだ。

 

・楊端和(長澤まさみ)

ここも本当にすごかった。楊端和はこの王都奪還編においてかなり重要な役柄であるのは読者ファンにとっては十分理解しているであろうこの難役。

戦闘シーンでの華麗さ荒ぶる山の民を手懐ける圧倒的存在感、どれも高水準いやこと今回に関しては正直かなり見惚れるレベルだった。

 

そのほかのキャラクターに関しては、敢えて評価を書かないでおきたい。なぜかと言うと今後続編がでるに当たって、本編の主要キャラである残りのキャラクターは活躍シーンがまだ大いに残っているからだ。ここでまだ演技がなっていない、キャラと違い過ぎると決めつけてしまうのは早計であると判断させてもらった。その点でもまだまだ続編が見たいのだ。

 

以上長々と語ってしまったが、これもひとえにキングダム続編への期待と実写化に抵抗のある同じキングダム原作ファンに少しでもこの映画に対するイメージアップに繋がればと思い立ちこの記事を書いている。私はあと二回は見にいく予定だ。

最後になぜこの記事をネタバレありにしたか、それは原先生自身がネタバレしてしまうという話を情熱大陸で語っていた時の話だった。

 

『ストーリーをネタバレしても感動させるマンガを描く』という先生の信条があるそうなのだ。こんな強い意志で書かれている作品が面白くないわけがない。

本当にこの人は神だと思った。